10_「そんなものこんなもの」お父さんの願い。何があろうと大丈夫。1/4
不穏な世の中で、心配なことが多くなりますが、こういうときこそ、ひとりひとりがしっかりしていれば大丈夫です。この短いお話はそういう願いを込めて作ったものです。
これは、お父さんの作品です。
1ページごとに絵をつけたいのですが、絵が苦手なので、文字だけです。
どうぞ、お楽しみください。
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そんな物、こんな物
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あるお金持ちの家に男の子が生まれました。 商売をしていて、なに不自由することなく大きくなりました。
ある貧しい農家にも男の子が生まれました。 食べる物がなく、いつもおなかを空かせて大きくなりました。
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この二人の子供はやがて同じ小学校に入りました。お金持ちの子供はリュウリュウ、貧しい家の子供の名前はパンパンです。
リュウリュウは、勉強はあまり好きではありません。むずかしい宿題は、お菓子を分けてあげて、頭が良くて、勉強が好きなパンパンにやってもらいました。だから二人は、いつも仲の良い友達でした。
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リュウリュウは、勉強はもうしたくなかったのですが、 お父さんは世の中の事を良く知ることができるようにと、上の学校に行かせました。
パンパンは、もっと勉強をして、色々なことを知りたかったのですが、お父さんは、お金がないのと、勉強をしても何の役にもたたないと思い、小学校を終わると、家で農作業の手伝いをさせました。
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それから何十年もたちました。
リュウリュウは会社を作り、子供が夢中になる、 「そんな物」という商品を作りました。
世界中に支店を持ち、何千人もの従業員が働いています。「そんな物」はどんどん売れて、お金がドンジャラ儲かります。
パンパンは、こつこつと働き続け、土地も少しづつ買って増やし、生きていくのに困らないようになりました。 畑で獲れた物を、ほかの貧しい人達にも少しずつ分けてあげました。
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リュウリュウが作った「そんな物」は、子供が一番ほしがる物の一つ。 クリスマスやお正月のプレゼントにみんなが買っていきます。
でも子供達は、勉強がいやになったり、つらいことがあると
一人で「そんな物」ばかりを遊ぶようになってしまいました。
長い間「そんな物」を遊んだ子供は、我慢することが苦手になります。 リュウリュウはそんな子供をたくさん作り出して、 ドンジャラドンジャラドンジャラジャンとお金を儲けました。
大人は「そんな物」を遊んでほしくないと思っていました。でも、リュウリュウの会社は、あまりにも大きくて有名な会社になってしまったので、誰も、「そんな物を売るのはやめろ!」と言う人がいませんでした。
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