089_千粒の涙(せんつぶのなみだ)其の1
これは創作物語です。
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息子の嫁が言った。
「お父さん、雄太がお腹の中にいる時、お母さんは何を食べていたか教えてくれませんか?」
「なんでそんな事を聞くの?」
「お父さん、雄太はとっても賢いの、私も雄太と同じような子供を産みたいの。」
こんなに言葉を聞けるとは思っていなかったので、目をまん丸くして驚いた。
お父さんは、母親の食べ物は関係ないと説明してあげた。
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「生まれる時に頭が大きすぎて、吸盤で吸って出したんだ。」
「頭はタコの頭みたいに長くなっていた。」
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「小学校に入ってから、乱暴で誰も遊んでくれない同級生がかわいそう」だと、夏休みに大きな遊園地に、その子と一緒に遊びに行った。プールの脇のところを一緒に走っていたが、後ろから背中を押され、滑って後頭部をタイルに打ちつけ、失神してしまった。もう意識が戻らないのかと思うぐらいだった。」
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「小学校の5年生の時に、学校のプールの高い所から落ちて、また頭を打ち、意識が戻らず、救急車で病院に行った。」
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最近YouTubeを観て解ったんです。頭蓋骨がゆがむと正常ではなくなるらしい。赤ちゃんの頭は、産道を通る時に、ぎゅっと押されて、ゆがみがなくなるんだってね。
人間の頭は見ても容易にわかるように、外力に対して、弱い作りになっている。
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Youtubeの後半にあったんだけど、けんかや悪戯をする問題児にはこの頭蓋骨の歪みがあることが多いらしいんだ、頭蓋骨修正の専門医が治療するチャンスがあったんだって。普通の子供に戻ったんだそうです。
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雄太は普通ではないのだが、仕事を始めて、どんどん経験を積んだら、普通の人と違う能力がとても役立つことに気付いてしまった。そしてこう言いました。
「俺は今のままの自分でいたいんだ。すごく気に入っているんだ。普通の人に戻りたくないだ。」
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