不思議なんです。

　今のお父さんは、テレビは観ません。見ないのに慣れたら、興味がなくなりました。インターネットラジオとYouTubeだけです。

　村の人は干渉し過ぎることもなく、あるがままに受け入れてくれます。

　山の中に行くと、熊がいそうな木々の中に家がぽつぽつあります。地元の人には農地や家があるので、都会から来た人かもしれません。夏の間だけ住む人かもしれません。

　一人焼き肉をしている老人がいたりします。お父さんは今なら解ります。一人でいることを楽しんでいるはずです。

　観光客も知らないきれいな場所があったりします。そこに自分しかいなくても、あるのは安心感だけなんです。不思議なんです。

　一日は自然に始まり、自然に終わる。なめらかにずっとそれを繰り返します。

　お父さんは毎日、食材の実験というか、いたずらばかりしています。

　こういう、特別なこともなく、流れる時間をとても心地良いと感じます。