小鳥のチッチ
たまには、日常の話しでも。
我が家の窓は、日中は全部開いていて、蚊でも蝿でも蜂も自由に行ったり来たりしている。
一年前に引越して来たときは、寂しくて、ハエを友達にしていたが、今年はハエ取り紙をぶら下げた。
あちこちチュパチュパして、跡がいっぱい付いたから、かわいそうだけど、チュパ禁止にしたのだ。
昨日の朝の事でした。開けた窓からパサパサという軽やかな音を立てて小いさな鳥が飛んできた。すぐ下で寝ているお父さんに気が付いて、プルップルッと速度調整をしながら、部屋を丸く飛んで外に出て行った。

お父さんは起きて、パンツと半袖シャツで別の部屋にいたら、さっきの鳥がまた入って来て、プルップルッっと慎重に小さく飛んでいた。人がいたのに気が付いて慌てて、めちゃくちゃに飛び始めた。
「ちょっと待ってろ、窓を開けてあげるから」と、急いで鳥の逃げ道を作ってあげようと腰を上げた時に、なんとハエ取り紙にくっついてしまったのだ。鳥は軽い。虫と同じようにネバネバにすっかりくっついて動けない。

「あちゃー、生きられるかなー?」
お父さんは鳥を左手で掴んで、ゆっくり剥がしたのだが、ブリブリと音を立て、体と羽の毛がたくさん抜けてしまった。
体も足も羽も首もネバネバだらけ。食器用洗剤で洗った。鳥はくちばしでお父さんの指に噛みつく。足が動くようになると爪で強く指を握る。

「もうすぐ終わるから我慢するんだよー」と首のところを洗っていたら動かなくなった。
洗い終わって拭いて柔らかいタオルの上に置いたら、前のめりに転んで死んだように動かなかった。でもまだ生きている。

「困ったなあ、外は暑いし、お父さんは出かけないといけないし」
もう無理そうだ。外の草むらの中に置いて行こうと思って掴もうとしたら、急に濡れた羽を動かして、隅に爪でカチカチ音をたてて歩いて行った。頭に白い輪がある鳥だ。

鳥は腸が短く、何も食べないとすぐに死んでしまうので、心配になった。この鳥は何を食べるのだろう?
リンゴとキャベツを小間切りにしたのと、米を数粒、そして水を準備して、台所の窓だけを開けて、お父さんは出かけた。
四時間ぐらいしてから家に戻ってすぐに鳥を探した。どこか隅っこで動かなくなっていないかと探した。刻んだリンゴを食べた形跡があるので少し安心した。
小鳥は、お父さんが寝ている部屋の窓からが入って来たので、そこから出ようと、閉まっている窓に何度もぶつかったようです。布団の上には抜けた毛があり、白いうんこも六つもあった。鳥は生きて飛んだんだ。

長い時間この窓から出ようと頑張ったようですが、台所の開いた窓を見つけて、飛んで出て行ったようです。
パニックにならなければ、自分で出口を探せるんですね。鳥はバカだと思っていたお父さんだったが、考えを改めました。

次の日の朝、起きて台所の窓を開けると、「チッチ」と小鳥の声がした。「あいつだ」。
お父さんには「チッチ、チッチ」、そうでない時は「チチッ、チチッ」と鳴きます。
