12_「そんなものこんなもの」 お父さんの願い。3/4
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リュウリュウは、また、財産も家族も信用もなくし、さびしく暮らしました。
パンパンは、また一番先にリュウリュウに食べ物を持って行き、励まして、「もう子供を相手にする商売はやめろ」 と忠告してあげました。
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リュウリュウもパンパンも、もう年をとってしまいました。リュウリュウは、つらいことがあったので、気力がなくなっていて、かぜをひいただけで死にそうになりました。
パンパンも、長い間、風や雪や暑い太陽ですっかり痛めつけられ、すりきれて、かぜをひいて死にそうになりました。
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リュウリュウとパンパンは同じ日の同じ時に死そうになり、二人一緒に、閻魔大王の前に連れて行かれました。
リュウリュウは、「そんな物」や「こんな物」を作って国を二回も破滅させたので、地獄に行かされるだろうと思っていました。
でも閻魔大王はリュウリュウに極楽に行けと言いました。 「私は国をだめにし、みんなに批判され軽蔑された男です。どうして極楽に行くことができましょう?」
閻魔大王は言いました。
「確かにお前は地獄に行かなければならないかもしれない」 「しかし、そんな物やこんな物を受け入れてしまったおろかな人々にも責任はある」
「お前は、会社で、たくさんの人を雇って給料をあげて、たくさんの家族を養った」 「だから、お前は良いこともしている」
閻魔大王は、良いことと悪いことの重さを比べる天秤計りを指差しました。「この天秤は極楽行きの方が下がっている」 「安心して、極楽で次に生まれ変わる時まで楽しく暮らしなさい」
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パンパンは、これまで質素な生活をして、困った人も助けてきたので、 間違いなく極楽に行けるだろうと思っていました。
閻魔大王は、良いことと悪いことの重さを比べる天秤計りを指差して、パンパンは極楽には行けないと言いました。
パンパンはどうして自分が地獄に行かなければならないか不満でした。「私は何も悪いことはしてきません。困った人も助けてきました」
「リュウリュウが困った時も一番先に食べ物を持って行ってあげました」 「子供を相手にした商売はするなとも忠告してあげました」
閻魔大王は言いました。
「お前はリュウリュウがやっていることが間違っていると知っていた」「でもリュウリュウを説得できなかった。たった二回しか忠告していないではないか」 「説得できなかったことが罪になっているのだ」
「また、お前はリュウリュウのようにたくさんの人に仕事を与えた訳でもない」 「だから、罪は少ないが、良い行いも少ないため、天秤計りは罪の方が重くなっているのだ」
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これを見ていたリュウリュウは閻魔大王に言いました。
「どう考えても、パンパンが地獄に行くのはおかしいと思います、もう一度良く調べてみてください」 「パンパンは地獄に行くような悪い男ではありません」
「この次に生まれ変わる時は、私がきっと良い行いをして償いますので、パンパンを極楽に行かせてください」
閻魔大王は言いました。
「この天秤ばかりに間違いはない。判決はぜったい変えられないのだ」
うつむいて下を向いていたパンパンは急に立ち上がり、大声で言いました。「閻魔様、私はこんな所でのんびりしている場合ではありません」
「私が死にそうになったため、体が動かない妻はもう三日もご飯を食べていません」 「また戻って来ますから、ちょっと帰らせてください」
そのとたん、目の前の閻魔大王もリュウリュウも消え、パンパンは生き返りました。
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